【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
秋月会長は、くしゃりとチケットを握りつぶした。
「あ……!」
「なんだ」
こちらをみた秋月会長の表情も声も重い。
「あ、いや、どうするんですかソレ」
私の質問が聞こえなかったはずはないのに、秋月会長は無言でポケットに突っ込んだ。
おまえに関係ないと言われたみたいで、バツの悪さにえへへ……と、笑って見せたけど、こおばった頬の筋肉がぴくんぴくんと痙攣してしまう。
だってあのまま捨てそうな勢いだったし、もしそうならもったいないなと思って。
あんなにクシャクシャにしたら、誰かにあげるとかも出来なそうだし。
観ない私が何を。
大きなお世話だろうけど、気になったんだ。
その間も、秋月会長はじっと私を見つめていたけど、ふっと視線をそらすと溜め息をついた。
そしてもう一度溜め息をついた秋月会長は、こちらを見ないままぼそりと呟いた。
「何なら観るんだ」
「…………へ?」
映画の話とわかるまで、余裕で一分はかかったと思う。
「ホラーがダメなら、何ならいいんだ」