【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ


「あ、なぁんかバカにされちゃってる? オレたち」


頭の回転も含め、何事にも愚鈍そうな男たちだが、そういうことには敏感だった。


「彼女守ってボロボロになりたいんなら、それでもいーんじゃねーの」


威嚇を込めているのか、男たちはこれ見よがしにポキポキと指の関節をならす。


「3対1でアンフェアとか言わないでね、カレシ」



囲い込むようにして近付いてくる男たちをチラリと見て、秋月会長は呟いた。


「人通りが多いな。通報されるか……」

「かかか会長……っ」



呑気にぶつぶつ言ってる場合じゃない。

絶対絶命大ピンチ。



「心配すんな。通報されて駆けつけてくる頃には、オレたちはいねーよッ」



勢い良く繰り出された拳を、パシッと小気味よい音が止める。


秋月会長の手のひらが、男の拳を掴んでいた。



見切ってるなら、流したほうが痛みは少ないだろうに。

わざわざ受けたように見えた。


「っ……!」


掴んだまま男を払いながら、他の男たちにぶつけてなぎ倒した。


「っのヤロウ!!」


起き上がろうとした男に、牽制も含めてなのか、脚を振り下ろす。


相手はくぐもった声を吐いた。


< 273 / 299 >

この作品をシェア

pagetop