【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
がっちりと固定されて動けない私のすぐ目の先で、バッグの中へ容赦なく手を突っ込み、男はガサゴソと漁る。
「お、あったあった。ケータイ」
二つ折りのケータイを、摘んで見せびらかすように振りながら、男は私の反応を見た。
ロックはしてあった筈だが、不安なことに変わりはない。
一瞬にして蒼白になった私。
「やめてよ……! 離して!」
無茶苦茶に暴れたけれど、私の力じゃ全然かなわない。
私の顔色に満足したのか、男はニヤニヤ笑いながら、片手首をクイッと振って、ケータイを開けた。
聞こえよがしにカチカチという音を立て、いくつかボタンを押したのち、つまらなそうに鼻を鳴らす。
そして開いた状態のまま、私の鼻先にケータイを突き出した。
「おい。呼べよ」
ぷいっと顔をそらした私の顎を、強烈な力で向き直させる。
「呼べ」
どれだけ凄まれても、黙り込んで睨み付ける私に、男のこめかみがピクッと脈打った。
ケータイを握る手の節が、白く変化する。
「てめぇいい加減にし──」
「……そこ。何やってんの?」