【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
男たちが、声のしたほうへと視線を向ける。
不信感露わに声をかけてきたのは、どこにでもいそうな中肉中背の、30代くらいの男の人だった。
知った顔ではないし、見覚えもない。
ただの通りすがりの人みたいだ。
男たちが探るように睨むと、彼はしどろもどろに言った。
「あの……彼女、嫌がってる……んじゃ、ないかな……」
段々と声が消え入りそうな彼の顔には、関わらなきゃよかった、と書いてある。
想像していた以上に、これは自分の手には負えなそうだと思ったのだろう。
「あ? なんだよてめぇ」
「あ、いや……あの……その……」
無鉄砲に私の前へ飛び出したらしい彼は、ちょっと凄まれただけで早々に白旗を掲げることを決めたようだ。
敵意があるわけではないというように、首を振る。
しかし彼の行為は、ギャラリーが煩わしくなる可能性ありと男たちに感じさせたらしい。
リーダー格らしい男が、言葉を吐き捨てた。
「チッ面倒だな……行くぞ」