【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
踏ん張っていた足も、もう限界だった。
引きずられるようにして、路地裏へと歩かされる。
光は遮られ、まだ夜には早いというのに、既に薄暗い。
ひんやりとしたコンクリートの壁が取り囲み、表通りとの温度差に鳥肌が立った。
通行人は、誰もいない。
初めて、身の危険を感じた。
「やだ……!」
「うっせーなぁ……」
腰を落とし、奥へ進むことだけは阻止しようとした私の足を、男が無造作に払う。
おしりを強かに地面へ打ちつけ、突然の衝撃に息が詰まった。
肺が酸素を求めて咳き込む。
「──そんなんじゃモテないよ?」
背後から、声がした。
「女の子はデリケートなんだから」
「なんだてめぇ。まだいたのか」
声を掛けてきたのは、さっきしり込みしてある意味見逃してもらった風の、30代の男だ。
男たちは頭っから舐めきった様子で、相手にする必要もないとばかりに無視を決め込むことにしたらしい。
見られていようが構うことなく、私を屈伏させようとした。