【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
カッと顔が真っ赤になるのがわかった。
「すみません、失礼しますっ……」
そう言って私がそこを離れた時、秋月会長とすれ違う。
顔を背けて、足早に私がすり抜けると、秋月会長の低くて冷たい声が私の耳に入った。
急に足をゆるめるわけにもいかず、そのままのスピードで歩いたから、返事は出来なかったけれど。
秋月会長の声は、きちんと私に届いていた。
「気にするな」
確かに彼は、そう言った。
……わかってる。
ユキトさんは生徒会副会長を務めていて、その朗らかな性格から顔も広いし、容姿も良いから、女子生徒にも人気がある。
その一方、浮いた噂は全くなくて。
女子生徒の顔を覚えるのが苦手とかで、誰にでも分け隔てなく接するけれど、特定の女子と仲良くしたりとか、そういうのはない。
だから私のことを覚えてなくても当たり前なんだけど、それでもやっぱり告白という一大決心は覚えていてくれるんじゃないかって、勝手に思ってたんだ。