【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「立てる?」
「あ、はい……」
差し出された手を、掴むかどうか躊躇したけど、結局掴まらずに立ち上がる。
「怖かったね」
だから手を「つかまないのも当然か」と、うっすら笑った顔は寂しげで、少し後悔した。
「あの……ありがとうございました」
「うん。今日のところは退散したみたいだけど、気をつけてね」
「何か、お礼が出来れば良いのですけど……」
なにも持ってないし……
言いよどむ私に、いたずらっぽく笑みを浮かべた。
「じゃあ……ケーキかパフェ、奢ってくれない?」
「え……?」
思ってもみなかった言葉に、私はきょとんと見返してしまう。
彼は照れたように頭を掻いた。
「男一人じゃなかなか頼みにくくってさ。ダメ?」
「いえ……大丈夫です。行きたいお店、ありますか? とは言ってもお金は大して持っていないので、あまり高額は出せませんけれども」