【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
ワゴンタイプのその車は、窓のところにフィルムが貼ってあって、中の様子は外から見えない。
後部座席のドアを開けたのは、私の腕を握る男の仲間で、それに気付いた刹那、血の気が引いた。
――やばい。
今までもシャレにならない位やばい状況だったが、あの車に乗せられたら、それこそどうなるか……!
「やだぁっ!」
カシャン、とケータイが地面に落ちた音がした。
しかし暴れたことで、私の足がケータイを蹴飛ばしてしまい、どこかへ行ってしまう。
私が車に乗せられそうになってしまうのを目撃されないようにか、はたまた万が一にも私に逃亡されないようにか、男たちは私の周りを囲んだ。
そのかいあってか、軽々とはいかなかったようだが、男たちは私を車に押し込めることに成功した。
ばんっとドアが乱雑に閉められた音が、何か宣告をされたようで、私は一縷の望みさえも、その音に断ち切られたように感じたのだった。