【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「こっちのが安全っぽいな」
「お、おろ……おろ……」
あまりに突然抱え上げられたものだからか、頭が真っ白になって、『おろして』という言葉さえも出て来ない。
そんな私達の方を見て、ユキトさんが小さく首を傾げた。
「似た光景を見たことある気がする」
「おいおい、人聞きの悪いこと言うな。誰彼構わずこんなことしてねーよ」
呆れたような慌てたような答えに、ユキトさんは曖昧に微笑んだ。
私とちらっと目があったから多分、ユキトさんが見たことある気がすると言ったのは、私が秋月会長に抱え上げられたあの日の光景だったんじゃないだろうか。
告白して、扉に激突という醜態を晒した日。
でもあのすぐあとさえ覚えられてなかったのだから、多分私のことではなくて、多分たまたま目があっただけなのだろう。
そうこうしているうちに、身長差を考えても決して軽くはない筈の私を、軽々と抱え上げたまま、十数メートルほどの移動が完了する。
そこにあったバイクの後ろにひょいと乗せられ、ヘルメットを渡された。