【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
そして私から猫へと視線をうつした為、表情が見えなくなった。
声だけが、聞こえてくる。
「ひとりぼっちは寂しいから、お墓に埋める前に、抱きしめてあげたくて。
土は、冷たいから」
「そうですか……」
お墓というのもきっと、この人が作って埋めてあげるんだろう。
私は今まで、猫がひかれているのを見ても、可哀相とは思ったけど、何もしなかった。
目を伏せ、心の中で黙祷を捧げ、あとは何も。
どこかへ連絡することもしなかったし、触れることさえ出来ない。
ましてやお墓なんて……
黙りこくった私に、彼はもう一度顔を上げた。
「変なやつって思ってる?」
「そんなこと……!」
「良かった」
瞬時に否定した私に、にっこりと笑った顔に翳りはなくて、ひだまりみたいな温かさに私は、心臓を掴まれた気がした。
「人は、平気なのにね」
ポツリと呟いた言葉が、風にさらわれそうになりながらも、私の耳へと届く。
意味を訊いていいものか迷ったけど、なんとなく聞きそびれてしまった。