【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
廊下の空気はヒヤリと冷たかった。
私が教室を出たのを確認すると、秋月は何も言わずに歩き出した。
「あの……」
呼びかけたけど、反応はない。
虚しさと苛立ちを抱えつつ、私はカバンの持ち手を握り締めた。
廊下突き当たりの階段まで来ると、秋月会長は上へ向かおうとする。
下校するんじゃないの?
てっきり、帰りがてらどこかへ行くということだと思い込んでたから、かなり面食らった。
友人たちにカラオケへ誘われてたから、余計にかもしれない。
口を開きかけたけど、どうせまた返事は返ってこないだろうと思いなおし、つぐむ。
すると秋月会長が階段の途中で動きを止め、私の方を振り返った。
視線の合わないまま、彼は言う。
「あとは好きに、行けばいい」
…………は?
固まった私に構うことなく、規則的な音を立てながら、秋月会長は上の階へと消えていった。