【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
フッと息のもれる音が聞こえた。
──あれ? いま……
「たまには、な」
もしかしなくても秋月会長、いま、笑った……?
そりゃあ秋月会長だって一応は人間だから、笑うこともあるんだろうけど。
なんだか笑うとこなんて想像がつかなくて。
鉄仮面をずっと掲げていて、それが当たり前だと思ってたから。
笑った顔は不器用な笑みだったけど、
意外とアリ……かもしれない。
「……不良」
トクンと鳴った胸をごまかすように、わざとそんなことを言ったけど。
隠せていたかどうかは定かでない。
秋月会長はそれには答えなくて、バイクに跨がった私を確認すると、アクセルをふかして走り出した。