【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ


フッと息のもれる音が聞こえた。



──あれ? いま……


「たまには、な」


もしかしなくても秋月会長、いま、笑った……?



そりゃあ秋月会長だって一応は人間だから、笑うこともあるんだろうけど。


なんだか笑うとこなんて想像がつかなくて。


鉄仮面をずっと掲げていて、それが当たり前だと思ってたから。



笑った顔は不器用な笑みだったけど、

意外とアリ……かもしれない。


「……不良」


トクンと鳴った胸をごまかすように、わざとそんなことを言ったけど。


隠せていたかどうかは定かでない。



秋月会長はそれには答えなくて、バイクに跨がった私を確認すると、アクセルをふかして走り出した。


< 44 / 299 >

この作品をシェア

pagetop