【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ


風が髪をいたずらに舞い上げる。

エンジンの音がカラダを伝い、心臓を震わせる。


流れる景色は、映画のエンドロールみたいにただ目に入ってくるだけなのに、私の気持ちを高揚させる。

向かう先がわからないからかもしれない。


最初は見たことのある風景だったけど、いつの間にか辺りの景色は知らない場所へと変貌していた。


どこへ連れて行かれるのかな。

期待はあるけど不安がないのは、さっきの不器用な笑顔を見たからだろうか。


いやでも私はあんな笑顔で騙されたりしないんだから。


秋月会長と言えば、いつも無表情で、世の中面白いことなんてひとつもないって顔をしていて、まさに冷血漢のイメージ。

態度も上から目線って感じ。


まぁひとつ残らず、私が感じたイメージだけど、大半の生徒が思ってることでもあったりする。


そもそもさっき、本当に笑った?

私の勘違いじゃないの?

なんて考えてたら、

信号待ちで、遠慮がちに掴まっていた両手を、無造作に引っ張られた。


不意をつかれ、私の鼻先が秋月会長の背中にぶつかる。


「ぎゃふっ」


可愛らしさのカケラもない声が出てしまった。


< 45 / 299 >

この作品をシェア

pagetop