【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
ひとつのベンチには先にもう秋月会長が座っていて。
私はもうひとつのベンチに座った。
するとそこから見えたのは。
「海だぁ……」
小高くなった丘から駐車場を眼下に置いて、それを囲む木々のさらに向こう。
私たちが住む街の奥に、海の水平線が伸びているのが見えた。
水面は太陽の光でキラキラと瞬いている。
海が見えるということは、そんなに標高はないと私は感じていたのだけど、ここは結構高いところにあるみたいだ。
ずいぶん登ってきたことになる。
でも全然そんな感じはしなかった。
ひっそりと泣いてる間だったからか。
私が美しい景色に見惚れて言葉が出ないでいる間、秋月会長は何も言わずに、じっと腕組みをして座っていた。