【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
もっとも、気付いたからってどうということもない──はずなんだけど。
鼻腔に広がる香りはほのかにセクシーで、秋月会長のことを、大人びた男性へと印象づけしようとしてるかのようで。
なんだか、意識してしまう。
男性なんだと。
このジャケットだってきっと、私がくしゃみをしたから寄越したんだろう。
そんな、フェミニストみたいなことをされたら、どうしたらいいかわからないじゃない。
私の情けないとこばっかり見てる筈なのに、なんにも見てないような関心のない素振りで、こんな風に女の子扱いされたら、どうしていいか、わからないじゃない。
あの時だって。
ユキトさんの前から、消えてなくなってしまいたいと思った、
昨日の廊下ですれ違ったあの時。
『気にするな』なんて慰めるみたいな、秋月会長が言ったあの言葉。
どうして私にかけたの。
同情?
憐れみ?
どうして。
「どうして」
呟いた私の言葉に、秋月会長の意識が向いたのがなんとなく感じとれた。
「どうして、構うの」
それは私が、ずっとききたかった事だった。