【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ


もっとも、気付いたからってどうということもない──はずなんだけど。


鼻腔に広がる香りはほのかにセクシーで、秋月会長のことを、大人びた男性へと印象づけしようとしてるかのようで。


なんだか、意識してしまう。
男性なんだと。


このジャケットだってきっと、私がくしゃみをしたから寄越したんだろう。


そんな、フェミニストみたいなことをされたら、どうしたらいいかわからないじゃない。


私の情けないとこばっかり見てる筈なのに、なんにも見てないような関心のない素振りで、こんな風に女の子扱いされたら、どうしていいか、わからないじゃない。


あの時だって。

ユキトさんの前から、消えてなくなってしまいたいと思った、
昨日の廊下ですれ違ったあの時。


『気にするな』なんて慰めるみたいな、秋月会長が言ったあの言葉。


どうして私にかけたの。


同情?
憐れみ?

どうして。


「どうして」


呟いた私の言葉に、秋月会長の意識が向いたのがなんとなく感じとれた。


「どうして、構うの」


それは私が、ずっとききたかった事だった。


< 51 / 299 >

この作品をシェア

pagetop