【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
かけられたジャケットを、シワになるくらい握りしめる。
ワザと。
悔しさが半分と、涙がこぼれないように力を込めたのが半分。
「そんなに私がウザいなら、もう構わないでよ」
捨て台詞のようにきつく言葉を投げつけて、一緒にジャケットも叩きつけようとした、その瞬間。
ククッ、とくぐもった声がした。
喉の奥で笑ったような、小馬鹿にした笑い。
反射的に睨み付けたけど、案の定、秋月会長の目は笑っていて、口角もかすかにゆるんで見える。
こんな状態の秋月会長へ、涙目になってるであろう私の睨みを向けても、その迫力はないに等しいんじゃないかと自分でも思う。
でも、意思表示にはなる筈。
それを寄りどころにして視線を外さず、目にもっと力を込めた。
「そういう捉え方か」
フーン、と大して興味もなさそうな秋月会長に、私の沸点は跳ね上がる。
自然、視線も更にきつくなる。
しかし秋月会長は、私の眼力などを気にとめた様子はない。
それよりも何か他のことに意識はいってるようで、それが苛立たしくはある。
だけど、あまりにそれが長いから、なんだかもうどうでもよくなってきた。