【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
私は、ジャケットを投げつけるタイミングをなくしてしまった。
するとひょいと手が伸びて、秋月会長がジャケットを私の手から奪い去る。
あ、と思う間もないほどの素早さで、それは私の肩にかかった。
「かけとけ」
低くて甘いハスキーヴォイスが、そう告げる。
そして私に背中を向けて、声もかけずに駐車場へと降りていく。
バイクのもとへと。
さっきまでの会話を、このひとはちゃんと受けてたんだろうか。いや受けてないに違いない。
受けてたなら、ジャケットを私にかけるという選択肢はない筈だ。
本当に何を考えて行動しているのか、全くわからない。
大丈夫なのかウチの高校。
あんな、コミュニケーション能力皆無なひとが生徒会長で。
迷って私がなかなか足を踏み出せないでいる傍ら、秋月会長はバイクのエンジンをかけた。
……まさか。
『構うな』と言ったからといって、こんなとこに置いてったりはしないよね……?
「いや……やりかねん」
生徒会長だけに、行動力はありそうだ。
でもミエをきった直後に、お伺いたてつつバイクに乗るのもしんどい。
どうしよ……