【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
私のためらいが伝わった様子はなく、バイクからは排気音がきこえてくる。
マジで置いてく気、なの……?
そのためのジャケット?
帰りの道中寒くないようにって?
確かにこれをまとっていれば寒さは半減されそうだけど、ブレザー制服のジャケットを二枚も羽織るなんて、人目引きまくりじゃないか。
ぶかぶかでいかにも男物だし、そんなんでトボトボ歩いてたら、訳ありにも程がある。
道もよくわからないし……
自分が連れ出しておいて、こんなとこで置いてくなんて無責任すぎるでしょう。
学校に行きたくなくて、どこかへ行きたいと望んだのは、私だけども。
頭のなかで、文句が溢れでる。
それでも自分からアクションをおこすには、意地が邪魔をしていた。
排気音が聞こえよがしにぐっと上がった。急かすように。
「……おい。なにやってんだ」
フルフェイスのヘルメットでくぐもり、エンジン音でかききえそうではあったけれど、
呆れ調子なのがここまで伝わるくらい、声へにじんでいる。
「早く乗れ」