【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
有り得ない挙動
「……構わないで下さいと言いませんでしたっけ」
正直、もう来ないと思っていた。
翌朝も赤いバイクが目に飛び込んできたとき、私の胸には戸惑いのなかにほんの少しだけ安堵があったことを、気付かない振りしてやりすごす。
「……乗れ」
秋月会長は相変わらず私の話を聞かずに、ヘルメットを押し付ける。
「困るんですけど」
こんなにも頻繁に秋月会長と登校だなんて。
まだ誰にも見咎められてないからいいようなものの、もし誰か──それこそクラスの友人たちに知れることになったらと思うと、気が気じゃない。
それでなくても昨日サボった事をなんて誤魔化そうかとか、
秋月会長と帰ったと誤解されたまま翌日を休んだのは失敗だったなとか、
友人たちは手ぐすね引いて待っているだろうなと見当がついて、
あれこれ頭が痛い。
秋月会長も、昨日の私の可愛げのなさを一身にうけて、
もう来ないだろうと思ってたのに。
少し顔を合わせにくかった。