【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「だからさ、そんなに睨まないでくんない」
「ぐぼわぁッ! わ、私、そんなつもりじゃ……!」
睨んでません睨んでませんっ
おかしな声出たけどバカにしてるわけじゃありませんっっ
だから許して下さい……!
青ざめたらしい私の顔を見る余裕すらないように、サキは体を折り曲げた。
「“ぐぼわぁ”って!!」
ヤバい腹痛いもう勘弁して許して、とサキは体を震わせている。
私は違う意味で体を震わせてたけど、そろそろと緊張をとく。
サキはひとしきり笑ってようやく人心地がついたのか、上体を上げたが、私の顔を見ないようにしていた。
おそらく私の顔を見ると“ぐぼわぁ”を思い出すんだろう。
変な声を出してしまったのは恥ずかしいけど、見つめられると緊張するから、良かったような気もする。
サキは私の視線に目を合わさないようにしつつ、ちょっと探るように切り出した。
「ねぇそんなに怖い? あたしが」
「はい。……あ、い、いいえ!!」
「あはは即答だよ」
ウッカリ本音が出てしまったのに、サキは笑い飛ばしてくれた。
いいひと、かも。
彼女の事、何もわかんないけど。
なんとなくそう思った。