【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
構わないで欲しいと何度も言ったはずなのに、
どうして。
視線が合った瞬間、私は思いっきり目をそらしてしまった。
歩み寄るシューズの音が、耳につく。
今日に限って教室はもう誰もいなくて、
校庭から聞こえる運動部の掛け声くらいしか音がない中でのそれは、
俯いた私の前で止まった。
「行くぞ」
頭上から振りそそぐ声に、私は身じろぎすらせず、じっとして口をつぐんでいた。
ついてくるのが決定しているかのように、背を向けるのが慣習になりつつあった筈だから、
そのままやり過ごしてしまおうと思った。
なのに、今日に限って。
「……どうした」
秋月会長は、
片膝をついて、俯いた私の目線近くにまで背を屈ませていた。
両手が机の端をそれぞれ掴んでいる。
動かない理由を言うまで、その場に止まりそうな雰囲気に感じた。
きゅっと唇にチカラを入れた私。
それでも秋月会長は、じっと私を見つめているような気配で。
埒があかないと思い、私は仕方なく口を開く。
「……友達を、待ってるんです」
言外に、去って欲しいと込めたつもりだった。