【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「名前は」
「秋月会長には関係ないです」
名前までも確認しようとするなんて、私の言葉が偽りだと秋月会長は思ったのか。
信用されてないみたいで苛立たしい。
心のずっと奥で、ショックを受けたように胸が痛むけど、
気付かないふりをする。
「嘘か」
秋月会長の声は静かで、
きつい物言いという訳ではない。
なのに私には挑発に感じ、
つっけんどんに返した。
「本当です。嘘じゃありません」
「名前は」
じゃあ名前くらい言えるだろう、と言わんばかりに、秋月会長はたたみかけてくる。
「崎谷雫(さきや しずく)。これで満足ですか。
もう行って下さい」
叩きつけるように一気に言うと、秋月会長は無言で立ち上がり、教室を出て行ってしまった。
怒らせたかもしれない──
それならそれでいい。
毎朝のバイク登校、放課後の教室への来訪。
秋月会長を見るたびに、ユキトさんの顔がちらつく。
忘れたいのに、秋月会長が現れることでその邪魔をしている。