【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
放送では、教室への呼び出しになっていた。
私が待っている場所がここだからだなんだろうけど、それにしても普通に考えて有り得ないことだ。
呼び出し先というのは通常、職員室か教科準備室、生徒会室と相場が決まっている。
だから何かを心配したのか、数人の先生が入れ替わり立ち替わり、教室を覗いては私にサキを待っているという説明をさせ、首をひねりながら出て行った。
私やサキだけでなく、先生にとっても迷惑な放送だったに違いない。
でもこれだけされては、何もなかったようには帰れないので、サキを待つと腹を括れたことは良かったように思う。
しばらくして、ゆらりと教室へ入ってくる人影があった。
私から視線を外し、くるくると毛先を弄りながら、気まずい様子で私の前の席へ歩いてくる。
「あの……っ」
声を掛けたはいいけど、何と呼べばいいのか迷っていると、聞こえよがしに溜め息をついたサキが、
斜め下を見て、私を視線を合わせないまま言った。
「アキのやつ……あたしが自分の名前嫌いなの、知ってるくせに」
わざとフルネームで呼びやがって、と彼女は悪態をついた。