【唯我独尊カレシ。】俺様*オマエ*まるかじりッ
「ったく。
あんな放送しやがったことは腹立つけど、
まぁ、楽しませてもらったし。
チャラにしてやるよ、アキ」
表情もそのままに私へ視線を移し、サキはうすく笑う。
「あたしの言ったこと、覚えてるだろ?」
笑顔とは裏腹の強い眼差しに、私はこくりと頷いた。
一瞬だけ、笑みが消えて真剣な顔を見せる。
「……忘れんなよ」
その気迫の強さに、私の心臓がどくんと畏怖したかに跳ねた。
じゃあな、とサキは男のような挨拶を呟き、
私へ引き止める間も与えずに、教室を出て行ってしまった。
あとに残された私に、秋月会長の視線が突き刺さる。
沈黙が支配する教室は、普段私が座っている席にも関わらず、酷く居心地が悪かった。
ゆっくりと秋月会長の口が開かれる。
「おい」
ビクッと私のからだが震えた。
声が掛けられることは想定してたけど、
そのあとに続く言葉への警戒ゆえだ。
サキが私に何を言ったのか、訊くつもりだろうか。
いくつもの案を必死になって頭の中でシュミレートする前に、
秋月会長から溜め息が降ってきた。