金魚玉の壊しかた
円士郎は正しかった。
私は何もわかっていなかった。
「私はね」
虹庵は、切れ長の瞳を真っ直ぐに私に向けた。
「ずっと、あなたのことを素敵な女性だと思ってきた。
とても可愛い人だと思っているよ」
……知らなかった。
「鳥英殿、私はあなたが好きです」
それは彼という人間そのもののような、
どこまでも真っ直ぐで澄み渡った、冬の凛とした青空のような告白の言葉だった。
「私のもとに嫁いできてはくれませんか」
虹庵が私のことをそんな風に思ってくれていたなんて、
私は全く知らなかった──。