金魚玉の壊しかた
「私はこのように一介の町医者の身分だが──

それでも、もしもあなたが一緒になってくれるのならば、

あなたを幸せにする自信はある」




柔らかな光の中にも、しっかりと強い意志を宿らせた瞳でそう語る虹庵を見て

思い知った。



この人と一緒になれば、私は──


けれど、私は──



悟りのように浮かんだ真実と、
それと相反するどうしようもない現実とを目の前に突きつけられて、

じわりと絶望が広がった。
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