金魚玉の壊しかた
「虹庵殿のことは、尊敬しています。
女として、あなたを愛することもできると断言できます。けれど──」





許されない。

私には、この人との人生も。





「私は武家の娘です。家には育ててもらった恩義がある」


畳に額をこすりつけながら、

私は


「縁組みによって、雨宮の家を守ることが私の義務です」


真っ直ぐ透き通った虹庵の愛を断った。
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