金魚玉の壊しかた
外で、雷鳴が轟き、雨音が大きくなった。


「何故……」

熱い吐息と共にゆっくり離れた唇に、尋ねた。

「あなたは……許してくれないと思ったのに──」

また涙がこぼれた。

遊水の人差し指の背がそれをすくい取って、


抱き締められた。


「何故?」


私と同じ言葉で、
囁くように
遊水が耳元で問い返してきた。


「俺のことで泣いてたと言う女を、どうして俺が許さないと思うんだ?」
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