金魚玉の壊しかた
彼の金色の髪が頬をくすぐる。

体が震える。


彼の息がかかっただけで、耳が燃えるようだった。

彼の腕の中にいるだけで、意識が遠退く気がした。


「あなたは……そういう人だと思っていた」


円士郎に抱きすくめられた時とは全く異なる、痺れるような感覚に支配され、

全身の力を奪い取られていくのを感じながら、私は答えて──


「そうだな……俺はそういう男だ」


私を抱き寄せたまま、ぞっとするほど冷たい声が言った。
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