金魚玉の壊しかた
喉が引きつった。


「家中の腐敗……を……?」


私は手の中にある刀を握りしめたまま、彼の言葉をなぞった。


「そうだ。亜鳥のお父上も含め、あの時私が罠に嵌めた者たちは皆、家中の汚職や腐敗に関わった者のみ。

──だが、そんなことは私とお前の間には、何の意味もない」


ひたりと緑色の瞳に見据えられ、私の肩は震えた。





「ここにいるのは、お父上を謀で失脚させ、死に追いやり、お前の家を没落させた──憎むべき亜鳥の仇敵だ」





私は弾かれたように立ち上がった。


「父を……父を……罠にハメて、陥れたのか!?」


「そうだ」


「そしてあなたは、没落していく雨宮家を後目に、何食わぬ顔で被害者を装い、権力者の座に居座り続け──この五年間、世間も雨宮の家も欺いて──執政を続けてきたというのかっ!?」


「そうだ」



頭が真っ白になった。



鞘から刀を抜き放つ。



鞘を投げ捨てる。



構えた鋼の輝きの切っ先を、

静かに座したまま私を見つめる男に、私は突きつけた。
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