金魚玉の壊しかた
私のその問いに、



「いいや」



彼は、泣き笑いのような顔で首を横に振った。



「私が伊羽青文としてとった道は、
この婚姻によって、政敵である雨宮家が他家と繋がりを持って力を取り戻すことを阻止し、恩を売って過去の遺恨を完全に絶つこと。

そのために亜鳥を利用する。これが、伊羽青文という男のやり方だ」



私たち雨宮の家の者の想像そのままの内容を青文は語り──



「しかし、遊水としてお前と過ごした時間が、私にそれを許さなかった」



またあの、どこまでも優しい瞳で私を見つめて言った。
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