金魚玉の壊しかた
何だ?
いったい何なんだ?
いきなり人ん家に入ってきて、こいつは何を言ってるんだ?
自分勝手過ぎる態度に苛つきながらも、彼に見つめられ「気に入った」と言われて、胸が高鳴ってしまう自分に気づいて──
──私はさらにイライラし、混乱した。
何だって、こんな奴に──……!
まあ一応、
私だって年頃の女なんだし、
だいたいこれまで周囲には、こんな風に自分と近い年齢で格好良い男なんていなかったのだから、免疫がなくても仕方がない、
と自分で自分に言い訳してみる。
一方、当の円士郎は包丁をくるくる回しながら、
「佐野鳥英が、こんな面白ェ奴だったとは──
虹庵から話聞いた後、もっと早く来てりゃ良かったぜ」
などと無邪気に言っていて、
それはあたかも私が『初対面の男』であるような口ぶりで……、
私は心のどこかで少し落胆しつつもホッと安堵する。
噂に聞く彼の素行から必要以上に身構えたが、
先程の発言も特に色気のある意味合いではなく、単純に人間として「気に入った」ということだったようだ。
私は大きく息を吐いた。
「全くだな。
その場合は是非とも昼間に、きちんと戸を叩いて入ってきて欲しかったものだ」
いったい何なんだ?
いきなり人ん家に入ってきて、こいつは何を言ってるんだ?
自分勝手過ぎる態度に苛つきながらも、彼に見つめられ「気に入った」と言われて、胸が高鳴ってしまう自分に気づいて──
──私はさらにイライラし、混乱した。
何だって、こんな奴に──……!
まあ一応、
私だって年頃の女なんだし、
だいたいこれまで周囲には、こんな風に自分と近い年齢で格好良い男なんていなかったのだから、免疫がなくても仕方がない、
と自分で自分に言い訳してみる。
一方、当の円士郎は包丁をくるくる回しながら、
「佐野鳥英が、こんな面白ェ奴だったとは──
虹庵から話聞いた後、もっと早く来てりゃ良かったぜ」
などと無邪気に言っていて、
それはあたかも私が『初対面の男』であるような口ぶりで……、
私は心のどこかで少し落胆しつつもホッと安堵する。
噂に聞く彼の素行から必要以上に身構えたが、
先程の発言も特に色気のある意味合いではなく、単純に人間として「気に入った」ということだったようだ。
私は大きく息を吐いた。
「全くだな。
その場合は是非とも昼間に、きちんと戸を叩いて入ってきて欲しかったものだ」