金魚玉の壊しかた
下手人だという男は確かにその頃、

こそこそとうちの屋敷にやってきては夜更けまで父と何事か話し込んでいたし、

話を聞けば城内での父と伊羽との仲も相当険悪で対立関係にあったらしい。


つまり晴天だと思っていたのは家族だけで、
実際父の周りを常に覆っていたのは真っ黒な雷雲であり、

落ちるべくして落ちた雷だったようだが。


だとしても、

私たち家族にとってそれはやはり
寝耳に水、
一朝の患、
足下から鳥、
棚からぼた餅──は違うか。

とにかく雲一つない空から降ってきた災いだった。




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