金魚玉の壊しかた
しかし私は、何だか清々していた。
武家の格式だの
家柄だの、
がんじがらめになっていたものが一気に無くなったのだ。
どうせ嫁のもらい手がなくなった女など、家にいても部屋住みの居候身分と何ら変わらない。
私は、これまでずっとできなかったことをやろうと単身屋敷を飛び出し──
城下で町屋を借りて一人、絵を描いて暮らし始めた。
十六の秋のことだ。
親戚や家族の者は、
家に不幸が続き過ぎて私がおかしくなってしまったのだと噂した。
私が描く絵というのが皆、奇怪なものばかりで、
見る者の目には異様に映ったからだろう。
私は皆から
「女妖怪絵師」
などと呼ばれるようになった。
武家の格式だの
家柄だの、
がんじがらめになっていたものが一気に無くなったのだ。
どうせ嫁のもらい手がなくなった女など、家にいても部屋住みの居候身分と何ら変わらない。
私は、これまでずっとできなかったことをやろうと単身屋敷を飛び出し──
城下で町屋を借りて一人、絵を描いて暮らし始めた。
十六の秋のことだ。
親戚や家族の者は、
家に不幸が続き過ぎて私がおかしくなってしまったのだと噂した。
私が描く絵というのが皆、奇怪なものばかりで、
見る者の目には異様に映ったからだろう。
私は皆から
「女妖怪絵師」
などと呼ばれるようになった。