金魚玉の壊しかた
後で聞いたところによると、一風変わったその男は、巷で噂のカラクリ鬼之介という若い発明家で、円士郎や遊水とも知り合いの様子だった。
彼は私のことを妖怪絵師として知っていたらしく、私はいつもの如く生き物絵師だとその認識の間違いを訂正したりして──
怪我をしているのか杖をついたその男は、まさか佐野鳥英がこんな美人だったとは──などと、衝撃を受けた様子で口走り、
続けて何事か口にしようとしたところで、
土間に下りた遊水が、青年の手にした杖を蹴り飛ばした。
「惚れたとか嫁になれとか言ったら殺すぜ」
土間に転がったカラクリ鬼之介を見下ろして、遊水はそんな言葉を放った。
初対面の相手にそんなセリフを告げるような男なのか。
さすが円士郎の知り合いだけあってこれもまた非常識人間かと私は思って、
私を庇った遊水の態度にどきりとした。
「な、何だ……あんたの女か?」
しかもカラクリ鬼之介が身を起こしながらそんなことを言って、一気に心臓の音が大きくなった。
それならそうと早く言え。あんたのものに手を出す気はない! と、鬼之介は焦った様子で続けた。
おつるぎ様が、えっ? と言って真っ赤になり、
「『あんたのもの』って──」
言葉を失った様子で立ち尽くした。
男の格好をしているとは言え、中身は純情な少女そのものといった可愛らしい反応に、横で円士郎がにやけている。
私も思わず頬がほころぶのを感じながら、
「そうだったのか?」
内心ドキドキだったが、平静を装って遊水に尋ねてみた。
彼は私のことを妖怪絵師として知っていたらしく、私はいつもの如く生き物絵師だとその認識の間違いを訂正したりして──
怪我をしているのか杖をついたその男は、まさか佐野鳥英がこんな美人だったとは──などと、衝撃を受けた様子で口走り、
続けて何事か口にしようとしたところで、
土間に下りた遊水が、青年の手にした杖を蹴り飛ばした。
「惚れたとか嫁になれとか言ったら殺すぜ」
土間に転がったカラクリ鬼之介を見下ろして、遊水はそんな言葉を放った。
初対面の相手にそんなセリフを告げるような男なのか。
さすが円士郎の知り合いだけあってこれもまた非常識人間かと私は思って、
私を庇った遊水の態度にどきりとした。
「な、何だ……あんたの女か?」
しかもカラクリ鬼之介が身を起こしながらそんなことを言って、一気に心臓の音が大きくなった。
それならそうと早く言え。あんたのものに手を出す気はない! と、鬼之介は焦った様子で続けた。
おつるぎ様が、えっ? と言って真っ赤になり、
「『あんたのもの』って──」
言葉を失った様子で立ち尽くした。
男の格好をしているとは言え、中身は純情な少女そのものといった可愛らしい反応に、横で円士郎がにやけている。
私も思わず頬がほころぶのを感じながら、
「そうだったのか?」
内心ドキドキだったが、平静を装って遊水に尋ねてみた。