未来のない優しさ
…嘘。

うまく対処できる自信なんてない。
悲しい想いをして。
多くの大切なものと未来をなくした自分の運命になんとか折り合いをつけようと必死でいる心に入り込んできた恐怖。

まだ16歳だった私は。

自分が負ってしまった暗い未来への恐怖と、日に日に過熱するマスコミの報道への不信感でいっぱいいっぱいになってしまった。

健吾にも会えない。

事故にあう前日、健吾はバスケ部のマネージャーと出かけていて。

二人親しげに映画館から出て来る所を見てしまった私。

「疑われるような事は何もない」

健吾の言葉に素直になれば良かったのに。

翌日までぐずぐず疑う私を突き放した健吾。
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