未来のない優しさ
バスに乗り込む時の呆れた目が心に焼き付いていて…。

病院で受ける治療の辛さと健吾に会えない悲しみに壊れた私は…逃げる事を選んだ。

「…柚ちゃん?柚ちゃん」

「あっ。ごめん…ぼんやりしてた」

「ふふっ。相変わらずだね。
で。
システム業界の女王様にお願いがあって」

は?

「柚ちゃんをマスコミから守りたいのもあるんだけど、市橋のおじさん達のデザイン事務所で働かない?」

…葵ちゃんの言ってる意味がわからなくて、無言になってしまう。

デザインって…。

したことないんだけど…。

「急にびっくりしたよね…。
おじさんの事務所も大きくなって、今事務所が5ヶ所になってね。

システムの統一とか管理を本格的にしなくちゃいけなくなって…」
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