未来のない優しさ
そこまで聞いて、何となくわかった。

「デザイン事務所のシステム管理を私に任せたい…って事?」

「そう。おじさん達も柚ちゃんの事を知ってるし、昨日恭汰が一緒に打ち合わせして…。
女王っていうのが噂以上だったって聞いたから。

それに…。

柚ちゃんを側で守りたいの…」

最後の言葉はとても慎重で、気遣いが携帯を通しても伝わってくる。

多分…その一言を言いたくて連絡をくれたんじゃないかな…。

小さい頃から大切な人がいなくなる事を怖がって、自分から心を開いたり、大切な人に大切だと伝える事ができなくなった葵ちゃん。

大切な両親を亡くしたあの事故から…ずっと。
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