未来のない優しさ
「…大和君…」

そっと大和君の体を私から離すと、今までに見た事のない切ない目が私を見つめる。

「ありがとう…。

ずっと気付いてた。

大和君が私をどう見てるか…。

それに頼って甘えてた。

ごめん」

俯きそうな心を強く持って顔を上げると、大和君の手の甲が私の頬を撫でる。

今まで大和君からこんな親密な仕草をされた事がなくて、はっとよけてしまった…。

途端に傷ついた表情に、

「あ…ごめんね…」

思わず謝る私…。

「ずっと、こうして近づきたかった。
抱きしめたかった…」

「…」

「でも、そうされて逃げないのは…川原が自分から寄り添うのは…あの男なんだな」

自嘲気味な声と溜息…。

「川原が自分からキスするのは…一人だけなんだよな」

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