未来のない優しさ
「え…何の事…?」

慌てる私の顔はきっと赤い…。
私が自分からって…もしかして

「…健吾の事?」

恐る恐る聞くと

「朝、車の中で川原が自分からあの男にキスしているの見た…」

「っつ!」

な…何であんな所を見られる…!

確かに会社の前に車を停めて、健吾の挑発を受け流す事なんてできないような空間で…求められるままに自分から唇を重ねたけど…。

「見てたの…?」

「しっかり見たよ」

「…」

その言葉で恥ずかしさがこみあげてきて喉がつまってしまった。

「俺がかけた電話も途中で取り上げて勝手にしゃべって切るし…。
川原の事が本当に好きなんだな」

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