未来のない優しさ
「春井のプロジェクトから外れるって事ですか?」

心の揺れを顔に出さないように、抑えた声音で部長に尋ねると

「まぁ…そうだな。

これまでの準備にかなりの時間と力を費やしてもらってるのはわかってるが…。

本社の業務に支障が出る可能性を残したまま春井に異動させられないと。

昨日のような大きなトラブルに対応できるのは、大和と川原くらいだから」

並んで座る大和君を見ると、事前にこの内容を聞いていたのか驚いた様子は全くなくて、少し悔しそうに口元を引き締めていた。
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