未来のない優しさ
「…仕事辞めて、結婚しないの?」

「えっ?」

あまりに予想外の問いに、驚いてしまう。
結婚って…。
子供産めないから結婚はできない事、友美先生が一番わかってるのに…。

「…恋人いるんでしょ?」

「…あの…」

「綺麗にマーキングされてるの、気付かないとでも思ってるの?」

ふふふと…明らかにからかい口調の友美先生は、今日初めての笑顔を私に向けながら、じっと私の返事を待っている。

「あ…これは…」

診察の時に見られたらしいキスマークの事だよね…。

今更ながらだけど、胸元に何となく手を持っていっても…ただただ恥ずかしさがこみあげてくる。
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