未来のない優しさ
「見て」

ひょいっと投げられた物を見ると…。

毛糸で編まれた小さな…靴下…?

片手でもちゃんと収まるくらい小さな一足の靴下。
きっと赤ちゃんが履くとびったりな淡いピンク。

どうしてこれが投げられたのかわからなくて、首をかしげながら友美先生を見ると、

「亡くなった娘の靴下。

ちっちゃくてかわいいでしょう?
あ、もちろん私の手作りね」

淡々と、さらっと聞こえたような気がするけど。

え…娘?

手元の靴下と友美先生を交互に見ながら…混乱してしまう。

「娘って…先生の?」

うわずったこの声は…私の声じゃないみたいに遠くに聞こえる…。

「もちろん私の子供。

可愛かったのよ…産まれて半年で亡くなったけど」

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