未来のない優しさ
ずっと我慢していた寂しさも手伝って、健吾の言葉は私を素通りして

「…すごく親しそうだった」

拗ねた声しか出せない。

「そりゃマネージャーだから親しいだろ…」

呆れた健吾の溜息。

「健吾の事好きだって噂あるし」

「…噂じゃない。
本当の事だ。告白されたし」

え…?

「俺の事好きだって言われた」

半分やけになってるのか
健吾の言葉は淡々としていて、涙流す私への気遣かいは全く感じられなかった。

「告白…」

「そ。
柚と別れて自分を彼女にして欲しいって」

「別れる…の?」

一瞬厳しい視線で私を睨んだ健吾は、鞄を持ち直すと、そのまま部屋を出た…。

< 234 / 433 >

この作品をシェア

pagetop