未来のない優しさ
バス停に着いても健吾の機嫌は悪いままで、私の落ち込む気持ちは底無し。

…実際、健吾は本当に浮気したの…?

告白されたのは事実だって…。

でも…私の気持ちはどうすればいいの?

会話のない時間は長くて、時々そっと健吾の横顔を見上げても…いつもの優しさは感じられなくて。

刻々と迫るバスの時間を気にしながらも、何をどう言っていいのか…。

私と別れたいって聞かされるのが怖くて、どんどん気持ちは追い詰められていく。

「バスケの練習の後に、マネージャーと映画観に行ったし、楽しかった。

柚と会わない時間が多いのは悪いと思うけど、
言い訳するような事はしてない」

抑揚のない、冷めた声が聞こえた。

私の寂しさをわかってない、なんだか遠い人になってしまった声。
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