未来のない優しさ
ちょうどその時、バスが私達の前に停まった。

乗り込もうとする健吾の腕を思わずつかんだ私に笑顔は向けてくれなくて…。

そっとその腕を離した。

寂しそうな瞳が揺れて、
どんどん私達の距離が広がる不安で一杯になる。

「ごめん…。寂しくて
会いたくて…一緒にいたくて…。
もっと恋人らしくしたくて…」

早口で必死に想いを口にしたけれど、ちゃんと正確な気持ちを言葉にする事はできなかった。

ただ、好きだから一緒にいたいだけなのに…。

「俺も…会いたいけど…
仕方ないだろ…。

そんなに無理言うなら
別れてもいいぞ」

…多分

健吾も勢いで思わず言ってしまったんだと思う。

まだ高校生の男の子だから…自分の感情と言葉をちゃんとリンクさせるなんて難しい。
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