未来のない優しさ
「…?」

何の事を言っているのかわからなくて、顔を上げて健吾を見てみると。

「…たまに寝言で言ってた。『信じなくてごめん…』って。

事故の日…俺と別れてからずっとそう思ってたんだろ?」

後悔と謝罪…。

悲しみと諦め。

負の感情に押し潰されそうな表情で出た言葉に、弱気な健吾の本当の気持ちが見え隠れする。

事故にあった私は、心身共にボロボロになって、苦しい時間を過ごしてきたけれど。

それ以上に、健吾の罪悪感に満ちた時間は苦しかったに違いない。

会えなくなった私を探して必死だったらしい高校二年間。
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