未来のない優しさ
「私に罪悪感を感じて…。
大切な人生目茶苦茶にしてごめんね。

私の思い出に縛られる事になって…」

私の体からすっと下ろされた腕に、私からしがみつきたくなって、寂しくなる。

私を抱きしめる強さがなくなるのがこんなに心細くて不安だって、改めて気付いてしまう。

離れた健吾の手は、近くに置かれたままの薬に伸びる。

それを取り上げると

「いつも薬飲んでるのか?」

「え…?あ…うん。体調によって種類は変わるけど」

突然思いがけない事を聞かれて戸惑う私を殆ど無視したままで

「病院には?しょっちゅう行かなきゃならないのか?」

「…三ヶ月に一度、検査に通ってる」

「…次に行く時は俺も一緒に行くから」

…は?

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