未来のない優しさ
「それでも。前みたいに『健吾』って呼べ。名字で呼ばれるのは違和感あるし…。

嫌いになって別れたわけじゃないんだ。
わざわざ距離をつくらなくてもいいだろ」

「…」

深い深い所で眠らせている痛みが…大きくわきあがってくる…。

「泣くな」

「え…」

知らない間に流れている涙を止める事もせずに、ぼんやりとしていると、野崎君の指が優しく私の頬をたどっていく。


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