未来のない優しさ

②

その週は、孝太郎への引き継ぎに追われて忙しかった。
日常業務を勤務時間内で何とかけりをつけてからの引き継ぎは、毎日深夜まで続いた。

孝太郎にしても、自分が担当していた従来の業務の振り分け、引き継ぎを抱えていた。

ようやく金曜日を迎えて。
時計は日付をまたごうとしていた。

隣のチーム内でシステムトラブルが発生したせいで、残業している人数もかなり多くて、ある意味定時なんてこの会社にはない。

今までもそうだし、きっとこの先もこの仕事漬けの毎日をこなし続けていくのかと思うと、疲れきった体が更に重く感じられる。

無理しちゃいけないのはわかってても、しばらくはどうしようもない。

孝太郎が春井に無事に異動すれば、少しは落ち着くはず。

あと一週間。